「富士通は親会社として使用者責任がある」
長野県労働委員会が画期的救済命令を下す


  1999年、会社が組合との同意協定を無視して強引に行なった信州工場閉鎖、全員解雇、子会社への転籍と希望退職募集の攻撃は組合つぶしを狙った不当労働行為であるとして会社と親会社である富士通を相手に救済申し立てをしていた(A事件)と、2001年2月に発表された持ち株会社設立問題で富士通の使用者責任を求めていた(B事件)で長野県労働委員会は3月31日、組合の主張を認め、高見沢電機の親会社である富士通にたいし、使用者責任を認める画期的な救済命令を下しました。

A事件では高見沢電機に対して
@労使の協定に違反し、組合と合意が無いまま希望退職等を募ったことは組合の団結権侵害の支配介入に当たる
A会社は団交で事業再建策の必要性を十分に説明しなかったことは「不誠実団交の不当労働行為」
と指摘。
富士通に対しては資本や役員関係などから「事業再建策は富士通のグループ再編の一環。富士通の指示、承認の下に実行されている」として「団交に応じ交渉を行なう立場にあり使用者性を認めることが妥当」とし、「交渉に応じないことは団交拒否の不当労働行為」と認定した上で、会社だけでなく、富士通に対しても誠実な団体交渉を行なうことと、謝罪文の交付を命じました。
労働委員会が命じた謝罪文の内容は下記のとおりです
高見沢電機に対して 富士通に対して
株式会社高見沢電機製作所
       代表取締役社長  岡村 弘充

  当社が行なった次の行為は、この度、長野県労働委員会により、不当労働行為と認定されましたので、今後、再びこのような行為を繰り返さないようにいたします。

(1) 昭和52年11月14日付け協定書を遵守せずに、貴組合の合意を得ないまま、当社信州工場の従業員に対し、千曲通信工業株式会社への転社及び希望退職の募集を行なったこと。

(2) 貴組合より申し入れられた当社信州工場の事業再建策に関する団体交渉について、不誠実な対応をとったこと。
富士通株式会社
         代表取締役  黒川博昭
 
  当社が全日本金属情報機器労働組合長野地方本部高見沢電機支部より平成11年5月12日に申し入れられた株式会社高見沢電機製作所信州工場の事業再建策に関する団体交渉について、これを拒否したことは、この度、長野県労働委員会により、不当労働行為と認定されましたので、再びこのような行為を繰り返さないようにいたします



富士通は謝罪し団体交渉に応じよ
     長野県労働委員会の画期的命令について
   
                                                 2005年3月31日
                    
                                        全日本金属情報機器労働組合
                                    同 長野地方本部、高見沢電機支部
                                        高見沢電機闘争支援共闘会議
                                            高見沢電機闘争弁護団

1、 2005年3月31日、長野県労働委員会は@1999年3月の高見沢電機信州工場閉鎖・全員解雇(希望退職か子会社への転籍の二者択一)の「事業再建策」をめぐる不当労働行為とA2001年2月の持ち株会社(FCL)設立に伴う不当労働行為救済申し立てで、二つの事件ともに親会社富士通の責任を明確に断罪した画期的な命令をだしました。

2、 この命令の主要な内容はt卯木のとおりです。
  @ 高見沢電機の親会社・富士通に対し、その使用者性を認定し団交の開催と、団交拒否に対       する謝罪文の手交をを命じました。
  A 高見沢電機に対しても、協定違反の希望退職募集強行などの支配介入を認定し謝罪文の手      交を命じました。

3、 親会社・富士通の使用者性について命令は
  @ 親会社の持ち株比率50%超は圧倒的優位にあること
  A 取締役は親会社富士通の上級者及び直接統括している部門からだされていること。
  B 親会社・富士通は電子デバイス部門の再編を10年前から考えており、1999年の段階ではいっそうの推進が必要との認識を持っていたこと
などをあげ、1999年の「事業再建策」が富士通の指示または承認のもとに、富士通の支配、影響力を受けて実行されたと断じています。
 そのうえで、大規模な会社組織の再編に伴う基盤的労働条件に関する団体交渉上の使用者たる地位の判断に際し
  @「親会社の個別的具体的な指示命令行為の立証まで必要なく、親会社の加害者に対する明示または黙示の承認を間接的あっても認めることができれば足りる」
  A「大規模なグループ組織の再編は親会社の主導により、子会社には計画、決定の権利は存在しない。これらに伴って労働条件が変更される場合、団体交渉上の使用者性が子会社に限定され、親会社に使用者性が認められないとするならば団体交渉は形骸化し、きわめて小さな効果しか生み出さず、団体交渉の実行は著しく狭められ団体交渉権の保障は後退してしまう」
と断じています。

4、 また、2001年の持ち株会社設立についても、富士通の責任を次のように認定しています。
「高見澤の発表した持ち株会社設立等は、電子デバイス製造業として長い歴史と技術・実績を有する高見沢が、グループ全体を統括する管理・営業・技術開発部門を移管し、高見澤本体にはわずかに信州工場とそれを統括するための本社機能などしか置かない単なる製造子会社に変るというもので、これは会社としての存続に関わる大きな改革であり、高見澤単独でなし得るものと考えることはできない。団体交渉に関しては、富士通は高見澤の過半数株主としてはもちろん、派遣取締役を通じての支配・影響力、F&Tを通しての取引関係上の支配力を有しており、本件持ち株会社設立等の中止や変更を行なうことができる立場にある。したがって、富士通は高見澤の再編に伴う雇用への影響など基盤的労働条件について団体交渉に応じ実効ある交渉を行なうことができるものということができうる。したがって、富士通は本件持ち株会社設立等に関し、団体交渉応諾義務があるものと認められる」

5、 現在、日常茶飯事のように進められている大企業による企業再編、有無を言わせぬリストラ合理化によって空洞化が進み多くの労働者が雇用を失い、過酷な労働条件低下を押し付けられています。これまで労働組合は、親会社の「雇用関係なし」とする団交拒否の厚い壁に悩まされてきました。本件命令はこれらの実態を正面から正確に捉え判断したものであり、親会社の厚い壁に大きな風穴をあけたもので大きな意義があります。
 子会社・高見沢電機へのリストラはまさに親会社主導で強行されたものであり、富士通は誠意を持ってJMIUとの団体交渉に応じることが強く求められます。

6、「事業再建策」の強行と持ち株会社(FCL)の設立によって、高見沢電機は100人の恒常的赤字が続く製造会社にされました。しかし、闘うことによって職場と雇用を6年間守りとおしてきました。
 私たちは今回の命令を力にして、親会社富士通およびFCLの使用者責任を追及し、早急に解決するよう強く要求した闘いをいっそう強めるものです。企業の存続・発展をめざし高見沢電機闘争の勝利まで戦うことを表明するものです。